教育の順番が大切だということを感じたのは
オリエンタルランドに入社してすぐのことでした。
同じ会社に入社したからと言って
同じ意識、同じ目標があるわけではありません。
ホスピタリティを大切にする企業は
トレーニングの順番をとても大切にしています。
こんにちは。
株式会社ハピネスワーク 青柳美智代です。
今日は私が研修講師として
生きるきっかけをつくってくれた
オリエンタルランドの
ホスピタリティを感じる教育の進め方に
ついてお伝えします。
ホスピタリティとは
サービスの原点…ホスピタリティとは
思いやり、心遣い、親切心、心からの歓待
わかりやすくひと言で表現すると
「人やモノを大切に想う気持ち」です。
人を動かすのは「感情」
心です。
ところが感情を動かすような
トレーニングを行っている会社は
まだまだ多くありません。
受講生を大切にするトレーニングの進め方について
先日お伝えしましたが
今日はゲスト(お客様)を大切にする環境にするために
大切なトレーニングの順番について
お伝えします。
仕事の出来より終了時間が待ち遠しかった初めてのアルバイト
トレーニングの順番はとても大切です。
入社した新人スタッフに
心構えや必要な知識を伝える前に
飲み物の作り方た
レジの操作方法を
教えてしまっていることは
ありませんか?
私が一番最初に経験したアルバイトは
たまたま裁縫が得意ということで選んだ
ある有名ブランドの紳士服を
つくる…という仕事だったのですが
初日に説明されたのは
出退勤や休憩時間のルールや
お給料のことだけでした。
そして縫製を行っている場所に行き
担当する仕事のやり方を説明され
毎日開始から終了まで
ひたすら縫い続けていました。
そのブランド名は知っていたものの
紳士服なのでそれほど興味もなく
淡々と業務をこなしていました。
チェック担当がいたので
失敗してもきっと気づいてくれる…
目の前の作業に追われながら
でも終了時間だけが待ち遠しい
そんな毎日でした。
当時はバンドを組んでいて
欲しい楽器があったり
合宿にいくための費用を得るために
毎日通っていたように想います。
そんな気持ちだったので
仕事そのものにそれほど興味もなく
同じ時期から働いていた仲間も
次々に退職し
1ヶ月経った頃には
私一人になっていました。
意識付けを最初に行うと目指すゴールが見える
さて…先ほどお伝えした
有名ブランドの縫製のアルバイトは
一体どんな
トレーニングが足りなかったのでしょう。
それは意識付けです。
そして意識付けはどんなトレーニングよりも
優先して一番最初に行うことが大切なのです。
そのことを実感したのが
オリエンタルランドに入社した時です。
「ディズニーは良いよね。
働きに来る人の意識が
最初からずば抜けて高いはずだから…」
この言葉は退職してから
そして研修講師として
出会う方からも
時々言われるのですが
それは違うように感じます。
応募理由も
意識も
皆それぞれ違うはず…。
もちろん採用基準はありますが
その基準に
ずば抜けた違いは
無いように感じています。
ではなぜ
ディズニーは退職率が低かったり
キャストが笑顔でイキイキと
働いているのか…
その理由が
このトレーニングの順番に
ある!
と私は感じています。
人間は感情の生き物…
良く言われている言葉ですが
トレーニングに
このことを取り入れている企業こそが
ディズニーです。
どんな気持ちで入社した人も
オリエンテーションを受講すると
みんなが自分の仕事に誇りを持ち
自分にできる限りのことをしたい…
そう想うのです。
なぜパークができたのか?
そこには創業者のどんな想いがあるのか?
キャストの役割
1つ1つの仕事が
どれほどゲストに影響するのか?
そういう意識付けを
数時間かけて
聴く・体験する・体感するという
順番で行っているのです。
私が在籍していたころは
数時間かけて理解したことで
起こる数々の感動のストーリーを
スライドと音楽で上映していました。
年齢に関係なく
経験になく
このスライドが終わると
涙を拭いている人が
沢山しました。
そして皆
よし!
私も頑張ろう!
と決意するのです。
私自身もこのスライドを
数え切れないくらい見ていましたが
毎回涙をこらえるのが大変でした。
どんな想いでこの仕事を選んだ人でも
選んだ仕事の背景や創業者の
想いを知ることで
職場や担当する仕事の意味を理解し
誇りを持って仕事ができるようになります。
意識が高いと
トレーニングや業務に対する
熱意が高まります。
意識付けのトレーニングとは
意識付けを行う為に必要な
トレーニング内容は
・創業者からのメッセージ
・職場の歴史
・コンセプトと目指しているゴール
・目指していること
・仕事をする上で大切にしたい意識
・行動基準(判断基準)
・スタッフの役割の大切さ 等
これらを
淡々と説明するのではなく
誰でも理解できる
わかりやすい言葉で
3つの手法(聴く・体験する・体感する)で
伝えるのです。
すると
受講した皆さんは
「この職場にはどのような魅力があるのか」
「私は何のためにこの場所で働くのか」
「ここでの私の役割は何か」
「私の役割でどんな素晴らしいことが起こる可能性があるのか」
などを理解し、意識するようになります。
実際の業務ができるようになってから教えるのではなく
入社したての
一番吸収しやすい時期
何もわからず
でも一番ワクワクしている時期に
行うからこそ
意味があるのだと感じています。
それはディズニーだけではありません。
私が関わらせていただいた企業や店舗では
一緒にトレーニング内容を構築し
私がトレーニングを担当したり
社内インストラクターを育成してきましたが
新人スタッフはもちろん
既存スタッフも
たった2.3時間の意識付けの研修で
態度や表情
仕事へのやる気が
大きく変化しました。
何を教えるよりも先に
意識付けを行うことは
スタッフの意識が向上するだけでは無く
退職者の減少
お客様の満足にも
繫がっています。
最後に
今回は一番最初のトレーニングについて
お伝えしましたが
その他のトレーニングでも
ディズニーが大事にしていることがありますので
また別の機会にお伝えします。
自分の仕事に誇りをもつことは
その人自身にとっても
嬉しことです。
入社したばかりのスタッフが辞めてしまうことは
会社にとっても大きな損失です。